必要最低限のもの以外は何もない部屋。

 祥吾の葬儀前、祥吾の父親から合鍵を受け取った祥吾の叔父が この部屋を訪ねて祥吾の写真を探したと言っていたが、綾乃はこの部屋に写真など存在しないことなど、とうに知っていた。

 自分の侵入を知った祥吾は、この部屋から生活感を全力で消していた。

 そんな祥吾が写真やデジタルカメラ、ましてやPCなど部屋に放置するような事があるわけがない。

 綾乃は自分だけが知るその事実に、優越感を感じた。