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 祥吾の病室。
 
 ずっと泣き叫び続けていた祥吾の母親も、今は魂が抜けたように、窓際におかれたソファーに身を預けている。

 両親よりも早く息子に訪れた、余りにも早い死。 

 そこは哀しみを通り越した、何とも例えようにない暗い静寂に包まれていた。

 祥吾の死から数十分後、部屋を後にしていた医師が死亡診断書を持って戻ってきた。

 祥吾の父親はそれを受け取ると、「お世話になりました」と深く深く頭を下げた。