そして中瀬に促され、大桟橋から対岸を見れば―― 沈み行く陽に照らされ、美しく夕焼色に染まり輝くビル群や、回る観覧車、そして赤煉瓦倉庫。 「あぁ―…なんてキレイなの――…」 うっとりとため息混じりに呟き、振り向いた大桟橋自体も夕日に染まり、その全ての感情を飲み込んでしまう程のノスタルジックな風景に、真理江はすっかり魅了された。 それを見た中瀬は、 「小林さんも夕焼け色に染まってますよ。 人って夕日に染まると、何だか泣き出しそうに見えますね」 と言って微笑んだ。