祥吾の病室を一歩出た綾乃の目に映ったのは、忌々しげな表情を浮かべ、肩を寄せ合ったり、小声で励ましあったりする者たちの姿。

 祥吾の両親から連絡を受けて駆け付けた親類や、特に親しかった友人たちであった。



 手術後は一度は落ち着いた様子を見せた祥吾の容態であるが、結局意識は取り戻さずにいた。
 そして今朝早く、突然に状況が急変したのだった。


 急変したと言っても、祥吾に繋がれた生命活動を測定する装置が異常音をもって知らせただけで、素人目には眠る祥吾の変化は判らない。

 ただ延命をするだけの処置を、綾乃たちは呆然と見守る外なかった。