皮肉なもので、その現実味を帯びない彰人の理想は、真佐子には“戯言”にしか聞こえず、彰人がまさか本気で言ってるとは思わなかった。


「とにかく。
 いつまでもそんな夢みたいな事を言っていないで、麻美さんにちゃんと連絡を入れて頂戴。
 そして早く、孫を抱かせて下さいよ」

 真佐子はそう苦言を呈して立ち去ろうとしたのであるが、

「あ、もうひとつ。
 悪いけど当分は“子ども”の話をしないでくれる?」

 思いがけず、昨日の友人宅での忌々しい出来事までもを思い出す彰人。

 そんな事とは知らない真佐子が、

「あら、今日は子どもの日でしょう?」

などと的外れな事をいえば言うほどに、

「それがどうしたって言うんだよ!」

 尚一層、イライラを積もらせる彰人なのであった。







~『ベイビーたちの……』彰人~