もともと綺麗に整理整頓されていた部屋は、少しの手入れで見違えるほど明るさを取り戻した。

「あぁ、スッキリした!」

 何やら悪い憑き物でも取れたような開放感に包まれた真理江は、ゆったりとソファーに腰掛け、何度も深く長い深呼吸をした。


 深呼吸を繰り返す度に、益々身体が軽くなるのを感じるのだった。

「どこかに出掛けようかしら?」

 突然真理江に、そんな珍しい気持ちが沸いて来た。



 ――…とその時、真理江の目に、携帯電話に着信があった事を知らせるランプの点滅がうつった。


 せっかく晴れやかな気持ちを取り戻していた真理江であるが、急に現実に突き返される思いを抱かざるを得なかった。



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