ユーカリのアロマが香るお気に入りのボディシャンプーで丹念に磨き上げた真理江の顔には、何か小さな決意が刻まれているように見える。
風呂から上がり、乾きがちだった肌に時間をかけてゆっくり栄養を送り込んだ真理江は、今度はここ数日の間に随分と散らかってしまった自分の部屋の掃除を始めた。
窓を開け放つと、外の空気の清々しいのに体が軽くなるのを感じた。
「そっか、もう五月なんだ……」
肌で季節を感じると、真理江の胸に懐かしい感情が浮かび上がった。
掃除機のモーター音に紛れて、
「歳は重ねても、結局、私は私でしかなのね」
と小さく呟いたのが聞こえた。
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