真理江は長い眠りから覚めたようにベッドから起きだすと、しっかりとした足どりでバスルームに向かい、40度と熱めに湯温を設定して風呂に湯を張った。
バスルームで鏡に写った自分の顔を見れば、肌の血色の悪さは、無造作に纏めた髪の乱れた様子は、真理江にはとても直視できないものであった。
真理江は「こんなの私じゃない…」と鏡の中の自分に呟くと、待ちきれない思いで湯が沸くのを待った。
そしてようやく湯が沸いた事を知らせるアラームが流れると、昨日から丸二日の間、部屋着として着ていたパジャマ脱ぎ捨て、ゆっくりとそれに浸かった。
真理江の身体の隅々まで巡る血液が、熱めの湯によって温められていく。
顔や首筋から流れ出した汗には、これまでの嫌な出来事が全て含まれているようで、真理江はこれがとても心地良かった。
そうしてすっかり温まり、頬や四肢肢体が赤みを帯びた様子は、まるで生まれたばかりの子どものようであった。
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