祥吾と連絡が取れなくなってから眠れぬ日々を送っていた真理江であるが、冴子によってその理由が分かってからは幾分か眠れるようになった。
個人情報の漏洩に敏感な社会である、さすがに祥吾がどこでどうやって過ごしているのかまで聞き出すことはできなかった。
しかし恐らく過労によるものであろうと言うことは、真理江にも容易く予想できた。
冴子によれば、電話で対応した祥吾の上司の口ぶりでは、もう暫く仕事を休むような感じであったという事であるから、ゆっくり休養するために実家に帰って母親に世話になっているのかもしれないし、もしかしたらどこか入院施設で休養をしているのかもしれない。
けれども、連絡が途切れてからもう5日も経つというのに電話の1本もよこさない祥吾に、真理江はどこか憤りを感じ始めていた。
そして祥吾が休息をとる場所に自分を選んでくれなかったということが、とてつもなく虚しく思えた。
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