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 同日。

 真理江はその几帳面な性格には珍しく、正午になってもまだ自分のベッドの中にいた。

 と言っても虚ろではあるものの目は開いており、眠っている訳ではないようだ。


 太陽は真南の一番高いところにまで昇り、真理江の部屋にも春の日差しを届けようと試みているのであるが、真理江のお気に入りであるローズピンクの朱子織のカーテンは未だ固く閉じられ、静かにその進入を拒んでいる。


 一昨日真理江を訪ねてきた冴子によれば、「特に仕事もないし、明日休めばいいわよ!」とのことであったから、その言葉に甘え、昨日も休暇をもらったのであるが、これにより同じ部署の多くの社員同様、真理江もこの年のゴールデンウィークは9連休となった。


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