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 祥吾が病院に運ばれてから5日目、世間がゴールデンウィークを前に、どこか浮き足立っている頃。

 祥吾はあの日から少しも変わらぬ姿で、病院の8階にある同じ病室のベッドに横たわっている。


 祥吾の体から延びる色とりどりのコード。
 それを伝い集められた各々の数値は、ここにきて妙に安定値を保ち始めていた。


 とはいえ意識が戻るのか戻らないのか、それは医師にも分からず、今後は祥吾の目覚めを期待し、ただ待つ時間が続く事となる。


 当初はそれを意識するあまりに緊張の抜けない時間を過ごしていた綾乃たちであったが、疲れもあるのか、皮肉にもその状況に少しずつ慣れていった。




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