随分と歳が上である真理江に対して失礼かもしれないが、あの飲み会のときの真理江といえば、確かに笑っているのにも関わらず、中瀬には、なにか痛々しくさえ見えた。


 “マドンナ”と言えば聞こえは良いが、その表裏の明暗に、若い中瀬は戸惑うのだった。



 そんな真理江に相反して、安藤冴子の強い明るさは際立っていたのであるが、

「では、安藤さんのような方はどうですか?
 メールアドレスを交換していらしたようですが?」

と尋ねてみたところ、

「あぁ…安藤さんね。
 彼女は何かお袋みたいなんだよなぁ」

それはまた佐竹のいう“笑顔”とは違うようであり――…


「お袋…ですか……」


 中瀬の目からみても明らかに安藤冴子は佐竹にかなりの好意を抱いているように見えいたから、“お袋のよう”と例えられてしまった安藤冴子に対し、中瀬は何と言ってよいやら分からないのであった。







〜『ベイビーたちの現実』中瀬〜