「金曜日は疲れなかったか?」

 ここで佐竹が、中瀬に先週の歓迎会の話を切り出した。


 中瀬が佐竹と勤務後に食事をする機会は 4月に2度あったが、いずれも部署内での集まりであったから、プライベートであのような会に誘われた事に中瀬はとても緊張し、不安を持って参加をしていた。


 勿論 大学の仲間内での飲み会とは違うものの、しかし佐竹ら先輩の仕事以外の一面を見られた事が 中瀬にとってはとても新鮮で、素直に楽しいと感じた。


「あ、とても楽しかったです!有難うございました。
 佐竹さんの人気はさすがですね!」

 佐竹は嬉しそうに笑みを浮かべると、

「当たり前だ!
 って言っても、俺が海外組じゃなかったら盛り上がったかどうかは分からんけどな」

 佐竹は両手を上げ背中を伸ばしながら、少し残念そうな表情をして、おどけてみせた。