病室に入ってから、綾乃はずっと無言で両親の後ろに隠れるようにしていた。 綾乃の顔を見れば、哀しみよりも怒りに近い、そんな表情が浮かんでいる。 そして 「……何してるのよ」 と、小さく呟いた。 綾乃にとって祥吾は、いつも思い通りにならない強い男であったから――…。 「そんなの許さない」と言わんばかりに強く唇をかみ締め、綾乃はただ首を横に振り続けるのだった。 〜『ベイビーたちの悲劇』 綾乃 〜