しかし、祥吾の心はと言えば、今日はどこか晴れやかなものではなかった。

 それは昨夜、真理江からの電話の内容というのが、祥吾を更に疲れてさせるものであったからに他ならなかった。


 祥吾は真理江に責められても、強く言い返す気にもならなかった。

 正直に言えば、忙しいとはいえ、全く時間がないわけではなかった。

 早めに切り上げた残業の後、後輩たちを夕飯に連れて行き、結局0時を回ってしまう、などという日もあった。

 しかし祥吾にとってもそれはよい息抜きであり、ひとつの目標に向かってみんなで頑張れることが楽しくもあった。



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