家に帰ると、一通の手紙が来ていた。
封を開けると、『修司様のご生誕を祝う会』と、書かれていた。


修司様??
あ、そっか。修司くんは今、お坊ちゃんなんだ。


………チケットは…どうしようか…


私はチケットを返すべく、前の服屋さんへと向かった。


「あ、そのチケットのヤツ?今日はそこのライブハウスにいると思うから、行ったら会えるよ」


店員さんはそう言ったので、ライブハウスに向かう事にした。


……ここかな…?私はライブハウスへと足を踏み入れた。


「ん?お嬢ちゃんどうしたの?」


現れたのは、モヒカン頭の男。顔にピアスがたくさん付いている。


………ニワトリみたい…。


「もしかして、順の友達?呼んでくるから待ってな」


ニワトリ男はそう言って中に入って行った。
後ろ姿がとても面白かった。


「あ、あの時のお姉さん。」


この人が、『順』。


お店で会った時は真面目そうな感じだったけど、今日はイケイケのにいちゃんな感じだ。


「名前言ってなかったね。俺、佐久間順ってゆーの。」


そう言って私の手を握り、無理矢理握手をした。


「あは、ごめん。セクハラだよね?」


お兄さんは手を離した。


「お姉さんは名前なんてーの?」


「前川真知子です」


「真知子ってさぁ、彼氏いんの?」


……早速呼び捨てかよ。


「いますよ。」


「マジでぇ!じゃあ奪っちゃお」


……何コイツ…。


「これ返しにきました。やっぱり行けません。」


私はチケットをお兄さんに渡した。