「言ってませんけど…」


「真知子ちゃん!」


その時、私を呼んだのは、チヨリンだった。


チヨリンがこちらに来たと同時に、慎一さんは去って行った。


「ごめんね、違うの。私がデートに誘ったのは………」


…誘ったのは?


「慎一さんなの!」


……………………え?


「私が、慎一さんの事好きになっちゃって、修司に協力してもらったの!だから、デートの約束っていうのは、私と慎一さんのデートの話。修司とじゃないんだ!」


私は瞬きをせずにチヨリンを見つめた。


…あの男のドコが好きなんだ……。
あまり人の事は言えないが。


「だから泣かないで」


チヨリンは私にハンカチを渡した。


「………チヨちゃん」


「ん?」


「慎一さんのドコがいいの?」


私は聞いた。


「Sな所!」


チヨちゃんは素敵に微笑んだ。


「真知子ぢゃん、ごめ゛んね」


修司くんが謝りにきた。


「別に…私の勘違いだったし、私の方こそ、ごめん……」


私は修司くんの顔が見れなかった。


「泣いてるの?」


気付かれたくないんですけど。
修司くんは私の左まぶたにキスをした。


「……ごめんね」


そんなに謝れると、ヤキモチ焼いた自分が恥ずかしくなるじゃんか。


「俺が好きなのは、真知子ちゃんだから」


私の顔は真っ赤だった。


ドスッ


「ウッ」


慎一さんは修司くんのケツに蹴りを入れた。


「イチャついてんちゃうぞ。きっしょいわぁ」


修司くんはあまりの痛さに座りこんでいる。
チヨちゃんはこんなS男が好きとは…。彼女はかなりのMなんだろうな。