「ったく、修司遅ぇなぁ~」


慎一さんは貧乏揺すりをはじめた。生まれたての小鹿の足の様な早さで。


「てゆうか、なんでこの遊園地なん?」


慎一さんは貧乏揺すりの速度を早めて言った。


「修司くんが、知り合いからチケット貰ったんですよ」


「誰から?」


そこまでは…。


「千代子さんからだよ」


ハゲ天使の発言。


………誰だよ、千代子って。


「千代子?ああ、あのハゲか」


………ハゲ?


「誰ですか、千代子って?」


私がそう言うと、慎一さんは貧乏揺すりを止めた。


「…修司から何も聞いてないんか?」


……え、なにを?


「千代子さんは修司お兄ちゃんの元カノだよ」


……………本当ですか?ハゲ天使。


「ずっま゛ぜん!ぉぐれま゛じたぁ~」


…修司くん登場。


「お、修司!来たか!!」


慎一さんは修司くんに、挨拶変わりにみぞおちに拳を入れた。


「かっ!」


「かっ!!って何やねん。お前元カノにチケット貰って今カノとデートとかしてんちゃうぞ。帰れ!」


あんたが来いって言ったんじゃないですか。