「あれ、大和…」


修司くんが智也の友達に声をかける。


「あっ修司兄ちゃん!」


智也の友達は修司くんのもとへ駆けてきた。


「兄ちゃん、なに?そのスポーツバック。」


「ん?これは非常食」


修司くんはそう言ってバックのファスナーを開ける。


「うわぁぁあ!!すげぇ!!」


「うわぁぁあ!!修司さんすげぇ!!」


智也も、智也の友達の大和くんも、目をキラキラさせていた。


「この勝負はおあずけだな…」


「だな」


智也と大和は目を合わせた。


大和くんは、さっき話していた修司くんの弟で、ウチの智也とはライバルらしい。


「ふーん…。アンタが智也の姉ちゃん?」


大和くんはマジマジと私を見ている。


「初めまして、智也の姉の真知子です。修司くんの彼女。よろしくね!」


私はニコリと笑い、大和くんに握手を求めた。すると大和くんもニコリと笑った。


「たいしたことねぇな」


………ハ?
大和くんは鼻で笑った。


……このクソガキ!!
私は小学生相手にマジ切れしていた。


「じゃあさぁ~。勝負おあずけになったことだしさ、あの山まで一輪車で競争しようか。どっちが足つかずに遠くまで行けるか。」


……一輪車て。


「いいね、ソレ。ねぇちゃん審判してよ」


…なんでやねん。