「あっ真知子ちゃん!」


バレた…。


「由梨さんも。来てたんだ」


由梨は本を握りしめて笑っている。


…今凄く他人の振りをしたい。
こいつをクビにしなくて大丈夫なのか?


「修司くんが辞めるとお客減るからなぁー…」


………………。
いても減りますけど?


「修司くん、その子達ダレー」


ヤマンバギャルが不機嫌に聞いた。


「俺の彼女とその友達」


……言わないでください。


「マジー?たいしたことねぇジャーン!バリ普通だしー」


普通ですよ。…あなた達と違って人間ですから。


「ウチら余裕じゃーん。奪っちゃおー」


…命を?……それとも魂?
私は危機感など微塵も感じていなかった。


自分の彼氏がヤマンバに喰われてしまうというのに…。


「あれ、真知子帰るの?」


自動ドアが開いた。


「邪魔しちゃ悪いから帰るね」


私は、『何故あの男を彼氏にしてしまったのか』を、自問自答しながら帰って行った。