その人物は何か企んだ様な笑みを見せた。


「よぉ、修司。元気か?」


……誰?


「おっ兄貴やん。どないしたん?こんなとこで」


…慎二くん。
てことは慎二くんのお兄さん?


「真知子ちゃん、初めて会うねんなぁ?俺の兄貴の森川慎一」


私は慎二くんのお兄さんに挨拶をした。
……修司くんはまだ怯えている。


「おぉ、修司。お前正月ウチ来たんやってなぁ?あーあ。仕事なんてしてんと俺も正月家おっといたらよかった」


「修司は兄貴のお気に入りやからな~」


……え、でもなんで修司くんが怯えてるの?
そう思った私に、慎二くんが耳打ちした。


「兄貴、めっちゃ『ドS』やねん」


………サド?


「修司イジめんのが一番好きらしい」


……だから怯えてるのか。


「修司、彼女出来たんやってなぁ?…生意気なヤツやで」


そう言ってしゃがみこんで怯えてる修司くんのお尻を蹴る。


「慎一さんは、俺に何の恨みがあってそんな事するんですか!」


修司くんは起き上がり、慎二くんのお兄さん…慎一さんにそう聞いた。


すると、慎一さんはニヤリと笑った。


「だってお前の被害妄想面白いねんもん」


「嘘だ!多分ボスから金を貰ったんだ!!」


……ボスって誰?


「あはは、イジメがいあんなぁ、お前はー」


慎一さんはそう言って笑いながら修司くんのスネを地味に蹴った。
修司くんは言葉にならない声で唸っていた。