いやいや。きっと、電波が悪いんだな。
私の携帯は三本立ってるけど…修司くんてもしかして山に住んでるのかも!


もう一度かけなおそう!


プルルルルル…


「は、はい…?」


「あ、修司くん?私、私!分かる?」


「ヒィィ!もう名前まで知られているのかあああああぁ!!」


……へ??


「あのー…?」


どうしたのかと思い、言葉を失う。


「ヒィッ!オレオレ詐欺なら間に合ってます!」


………は?


「“オレオレ詐欺”と改め、“私私詐欺”だな!!」


おいおい!オレオレ詐欺と勘違いしてんじゃねーよ!
だいだい『間に合ってる』ってどうゆう事なんだよ!!


「違うっちゅーの!私、ま・ち・こ!!前川真知子!分かる!?」


「へ…?まち……ああ!由梨さんの友達の!」


やっと分かったんかよ。


「あーなんだあー。ビックリしたー」


ビックリしたのはこっちだ!
でも、最初に私が名前言わなかったのも悪いな…。


「ごめんね。いきなり電話して。今電話してて大丈夫?」


「うん、大丈夫だよ。」


「あ、あのさ。修司くんさえ良ければ今度一緒に遊びに行かない?」


「え?僕と?うん…身代金目的でなければ。」


いやいや!私は誘拐犯か!?


「み…身代金目的じゃないから。」


「あ、それなら…」


いいんだ。


「あ、そうそう。慎二くんと由梨がね、次の日曜日、四人で遊園地行かないかって言ってるんだけど、どう?」


「あ~いいね。遊園地。」


「じゃ、決まりね!」


私はそう言って電話を切った。
休みが来るまでの間、私はワクワクして寝れなかった。