終業式も終わり、修司は教室で帰り仕度をしていた。


「修司ー」


慎二は修司を呼んだ。


「慎二。俺帰るから」


修司は家に帰ってすぐに支度して、箱根行きのバスに乗らなきゃいけないのだ。慎二にかまっている暇は無い。


「なんか、一年のやつがお前呼んでるぞ」


修司は、慎二の指さした方を見た。


「……あ」


そこには、朝会ったおすもうさんがいた。


修司はその人のもとへと駆け寄った。


「あの、電車に乗ってたおすもうさんですよね?」


「自分はおすもうさんでは無いでごわす。あの時は相撲部の朝練に遅刻しそうだったのでふんどしで電車に乗ってたでごわす。」


「え、一年生…だよね?」


修司が聞いた。


「ハイ!自分は1年3組の武田力でごわす。16歳でごわす」


16歳には見えないと修司は思ったが、あえて口に出さなかった。


「自分は、修司先輩のいとこでごわす」


「いとこ??」


修司は唖然とした。


「ハイ!自分は、修司先輩のお母さんの弟の息子でごわす」


「あ…そう」


イキナリ来てイキナリそんな事を言われても…と、修司は思った。


修司は困惑した。


「それだけっス!では、メリークリスマスでごわす!!」


力は去って行った。


「あれがお前のいとこか…。…ぷぷっ。似てんなぁ」


慎二がからかうのを無視し、修司は鞄を持って教室を出た。