被害妄想彼氏

「真知子ちゃん?」


……あ、いけない。
今もう舞台の真ん中に立っているんだった。


「前川真知子です。えっと…よろしくお願いします…」


駄目だ、緊張でフラフラする~。


「真知子ちゃん!」


私は緊張のあまり、倒れてしまった。


「誰だ!!?」


…え。


「今誰か俺らを狙っただろう!!」


会場は呆然としていた。


「ここにもテロリストがいたとは…すぐにここから逃げなければ!!」


「アホ――!!」


私は無理矢理に体を起こして修司くんの頭をどついた。


「どうも、ありがとうございましたー」


漫才が終了した時みたいな挨拶をし、私は修司くんを引きずって舞台を後にした。


「漫才で攻めるとは…お主もやるよのう」


舞台そでで慎二くんが意味不明な喋り方をしていた。


「は?何よ。漫才って」


「結構ウケえーやん」


会場の方に耳を澄ますと、何故か大爆笑。


「み…皆ネタだと思ったんだ…」


ネタじゃないです。事実なんです。
この人の性格なんですよ…。


修司くんの被害妄想がネタだと勘違いされたせいで、会場は大盛り上がり。
一番ウケが良かったため、『バカップルコンテスト』の優勝者は、私達だった。


斬新だったらしい。