とうとう文化祭。私のクラスはたこ焼き屋をする。


「由梨~。真知子ちゃ~ん」


慎二くんの声だ。


「いらっしゃい」


「慎二くん、いらっしゃい。……あれ?修司くんは?」


「あれえ?さっきまでいたんやけどなぁ」


……はぐれたの?


「慎二。ここは女子校なんだから、男一人にさせちゃ駄目じゃない。きっと修司くん今頃…」


由梨が続きを言おうとしたが、どこからともなく、黄色い声が聞こえた。


「きゃー!お兄さん彼女いるんですかあ?」


「名前何て言うんですか?教えてください!」


「どこの学校なんですかー」


「…やっぱり。修司くん男前なんだから、獲物にされちゃってるじゃない」


「えー?俺一人でも平気やったけどなあ」


……そりゃあね。


「…はっ!!!!分かった!キミ達、俺の個人情報を聞き出して、その情報を売り飛ばすつもりなんだろう!!」


……ゆっちゃった。


「そして身に覚えのない、請求書を家に送りつけ、いわゆる『振り込め詐欺』をするつもりなんだな!!」


慎二くんと由梨は笑ってるけど、私は笑う気にはなれなかった。


「君達に教える情報は何もない!…去れ!!」


修司くんのまわりを取り囲んでた女の子は、去っていった。


……早速かよ。


「あ、真知子ちゃん」


あ、気付かれた。


「へえ、たこ焼き屋なんだ。ひとつもらえる?」


修司くんはさっきの事を忘れ、たこ焼きを注文した。


………切り替え早っ