被害妄想彼氏

「手、離すんじゃ!!」


俺は言われたとおりに手を離した。
たこは、どこかへ飛んでいった。


「あぶなかったの」


おばあさんはそう言った。


「すみません」


俺はまた、空回り。
こんなんじゃ駄目だ…


「また明日……」


「来んでいい!」


おばあさんは言った。


「ワシはもう、明日帰るんじゃ。田舎に」


「えっ…」


「修司くん、アンタ、真知子の事好きか?」


「はい。…とても。」


俺の顔は、たこに引きずられた時に泥が付いていた。
その泥をおばあさんがハンカチで拭いてくれた。


「真知子を幸せにしてやってくれ。」


おばあさんは、確かにそう言った。


「じゃあ、認めてくれるんですね!」


(最初からそのつもりじゃったが…)
おばあさんは、ゆっくりと頷いた。


俺とおばあさんは真知子ちゃんの家へと着いた。


「どうしたの、修司くん泥だらけじゃない!」


真知子ちゃんが俺の姿を見て言った。


「真知子、修司くんに風呂かしてあげなさい」


「うん、分かった」


真知子ちゃんはお風呂場に向かった。


「おばあさん」


「『今日の事は真知子に秘密』じゃろ?」


俺はこっくりと頷いた。