「聞こえまちゅかー?お父さんですよお!」


由梨のお腹の顔を当てて慎二くんが言う。


「気はやいなあ」


由梨はそう言って笑った。


「聞いたか、修司!俺父親やぞ!」


「あー凄いね」


「なんやそのやる気ない返事はあ!!お父さん泣いちゃうぞ!」


…大丈夫なのか、こんな父親で…。


「いつか、俺たちも作りたいね。」


「…へっ!?」


何をいきなり言うの、この人は…。


「おー!励め!励め!」


「はげめー!」


何だこの人ら…。
気付くと辺りは暗くなっていて、修司くんはある方向を指差す。


「あれは…」


どう見てもラブホテル。


「一度行ってみたかったんだ。明日休みだし」


マジでゆーてんの!?


「さっほらほら」


修司くんに手を引っ張られ、行く事に…。中に入るとなんだかテンションが上がった。


「うおお~!水族館みたいー!」


「でしょー?結構人気みたいなんだよ!」


へーそうなんだ…って、うわ!?


「それではいただきます。」


はやくね!?


「…」


「…」


「…あれ。」


ん?


「…狭い」


え?


「狭子の呪いだ―――!!」


そんなわけねーだろ!!


「狙っていたのは狭子だったのか!」


…私はこの人と結婚して本当に大丈夫なのだろうか?