とりあえず、近くの産婦人科に行くことにした。私達は入り口で待って、由梨は一人なかに入って行った。


「慎二はこの事知ってるのかな?」


修司くんが言った。


「知ってないよーな気がする…」


「なんで?」


「なんとなく」


由梨のあの様子からすれば…なんとなくだけど。


それから結構待って、由梨は病院から出てきた。


「ど、どうだったの?」


「……してた。妊娠」


……マ、マジすか…。


「慎二に電話しなよ。」


修司くんは由梨にそう言ったが、首を振った。


「どうして言わないの?」


修司くんが言う。


「心配させたくないし。産めるはずないもん。私達まだ高校生なんだもん」


「でも、あとちょっとで卒業だし…」


「慎二、この前T大受かったの。大学卒業したら、お父さんや慎一さんみたいな警察官になりたんだって。私がここで『子供できた』なんて、言えないよ…」


由梨…。


「それで、修司くんにお願いがあるんだけど。」


「ん?なに?」


「これ…書いてもらえないかな。」


由梨が出した紙は『中絶志願書』。


「え!?」


私と修司くんは目を全開して驚いた。