被害妄想彼氏

「あれ?狭子と修司。今帰ってきたん?」


「真知子、慎一さんと出掛けちゃったよ」


「え………?」


「記憶戻って無いもんね。ヤキモチなんか妬かないか。」


「……………。」


「修司くんも行く?千日前。たこ焼き美味しいらしいよ。」


「え……あ…はい。」




「真知子、お前猫背やぞ。デューク見習えや」


はぁ、すみませんね。私はため息をはいた。


「なんや、やっぱ修司が気になんのか?」


「…………。」


「まぁ、ええけどな。オラ、さっさと入るぞ。」


慎一さんは二人分のチケットを持ってスタスタと歩いて行った。


てか、これはデートなんじゃ………


「おい、猫背!さっさとせぇや!!」


………猫背って。



「ん~!美味しぃ~やっぱ本場のたこ焼きは違うわぁ!」


由梨はたこ焼きを頬張りながら言った。


「やろやろ??俺はここのたこ焼きが最強やと思うねん!」


「慎二はどこのたこ焼きでも最強って言うよね~」


「だってどこも美味いもん!」


「……………」


そんな二人を、修司が不思議気に眺めていた。


「修司?どしたの?」


千代子は修司がいつもと違う顔つきなのに気がついた。


「いや、あの二人見てたら…なんか、大事な事忘れてる様な気がして…」


「…修司……」


「思い出せない……」


「修司、無理しなくていいよ。」


「一週間前の晩御飯が何だったか思い出せない……」


「…いや、それは誰も覚えてないよ。」