サクッ


ひとつのカルタが慎一さんの髪に刺さった。


「あわわ」


「オイ、誰や。カルタ投げたん」


慎一さんの目は獲物を狙うサメの様……


「ぁはっ!ごめんなさぁ~い」


慎一さんの顔に、血管が浮き出ているのが分かった。


「お前、謝る気あんのか?」


「へっ」


次の瞬間、慎一さんの手には、フォークが握られていた。


「これ、ワキに刺すぞ」


ワキ?!
声にならない痛さなんでしょう…。


あくまで想像ですけど。


「慎一さん、やめてあげて下さいよ。怖がってるじゃないですか!」


チヨちゃん…アンタ、勇者だな…。


「オイオイ、ハゲのクセに俺に意見すんのか?」


そしてケツ子は……


「素敵……」


………は?


「慎一さんでしたっけ?私を彼女にして下さい!!」


ケツ子……最強のMだな…


「だめぇ!由紀ちゃん、慎一さんは私の!!」


チヨちゃんは力強く言った。


「ちょお、待てや。俺はハゲのモンになった覚えないぞ?てか、ハゲとケツなんて死んでもごめんや」


二人は落ち込んだ。


今はS男がモテる時代なのか……?


「おい、ケツ!お前カルタ片付けとけよ!!」


ケツ子は小さく返事をして片付け始めた。