あたしは、手紙を声に出して読み始めた。
「ママへ。
今日、あたしは蒼と結婚します。
ママ、あたしを育ててくれてありがとう。
ねぇ…ママ、あたしが本当の娘じゃないと知った時、ママはあたしのこと嫌いになりましたか…?」
手紙を持つ手が震える
今までのさまざまな出来事が
甦ってきて
「…あたしはね、真実を知った時、ショックだった。
でもあたしはずっとママの娘でいたい。
これからもずっと…。
ママ、あたしはママの娘でいていいんだよね?」
声が震えて
うまく手紙が読めないよ
ちゃんと伝えたい
「…あたしにとって……ママは…世界でたった一人のママだから
だからこれからも、あたしのママでいてね?
ママを悲しませて、本当に親不孝な娘だけれど、これからたくさんママに恩返しするからね
今日は、来てくれてありがとう
ママ、世界でたったひとりの私のママ。
大好きだよ。絢音より…」
手紙を読んでる最中に涙が止まらなくなって、ママも泣いてた。
「バカね…あなたは私のたったひとりの娘よ…?」
「ママ…っ」
「絢音が幸せなら、私も幸せよ……」
「ママーーっ」
「絢音、今までたくさん悲しませてきて、ごめんなさい」
泣きながら声を詰まらせて、ママは言った。
「ううん…幸せな思い出の方がずっと多いから……」
ずっと…ずっと
怖かった
あんたなんか私の娘じゃないって
言われるんじゃないかって
だってあたしはママを傷つけてばかりだったから
ママ…
あたしを愛してくれて
ありがとう
ママ…大好きだよ……



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)