沙羅が部屋を出ていくと、ママが部屋に入ってきた。
「ママ…」
「絢音…綺麗ね…」
「ママ…来てくれてありがとう」
ママは黒の振袖をバッチリと決めていた。
蒼は20才の時、あたしと別れてすぐにアメリカに行って、蒼は蒼のお父さんに頭を何度も下げ、和解をしてもう一度家族をやり直した。
蒼のお父さんは再婚して、子供もいたけれど、全てを知っても、蒼のことも自分の息子だと思ってるって言ってくれたんだって。
蒼はお父さんにお金を借りて、うちのママに借りていたお金を全て返した。
蒼はお父さんの援助を受けながら、こっちの大学を卒業して、それからも蒼はママやパパに何度もあたしとのことを許してもらおうと頭を下げに行ってくれてたの。
6年間、うちのパパとママに蒼がずっと変わらず許しをもらいに行っていたことは、後から知った。
蒼はずっと諦めないでいてくれた。
「蒼くんには…負けたわ」
「ママ……」
「何年もママのとこへ、絢音とのことを許して欲しいって…頭を下げるの……。もうママも怒るの疲れたわ…」
「あたし知らなかったの…。6年間、あたしは、自分のことしか考えてなかったのに…蒼はずっとあたしのことを……」
「もうね、最後の方は…ここまで絢音を想ってくれる人いないと思ったのよ…」
「うん…本当だね…ママ…」
「ママだって、頭ではわかってたのよ…あなたたちは何も悪くないってこと。でも受け入れるには…何年も必要だった…」
「許してくれてありがとう…ママ…」
「絢音…」
「ママ…あたしね、ママに手紙を書いてきたの…」



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)