「絢音先生、はい…これ」




私は絢音先生に、手作りのクッキーを渡した。




「愛空が作ったの?」




「はい、そうです!絢音先生に食べて欲しいなって思って♪」




「何であたしに…?」




絢音先生…泣きそうな顔してる。




「先生、私…先に行きますね!遅刻しちゃう!」




絢音先生を置いたまま、私は走った。




「ちょっと…愛空?!」




絢音先生が大声で叫んだ。




あたしは立ち止まり、振り返る。




何で絢音先生に


手作りのクッキーを渡したかって…?




「絢音先生が好きだから…っ!」




それだけ言って、私はまた走り出した。




無邪気で


子供みたいで


おっちょこちょいで




でもそんな絢音先生が



好きだよ……―――





「拓真ぁー!おはよっ」




拓真のランドセルをポンッと叩いた。




「愛空!おはよ」




笑って見つめ合った。




「ねぇ拓真、手ぇつなごっかぁ」




「えっ…?!」




真っ赤になる拓真の顔も可愛い。




「冗談に決まってるでしょ!」




「なんだよ…」




残念そうな拓真がまた笑える。