幼なじみ〜first love〜

「彼を縛りつけたくなかったんです」




あたしは蒼を



長い間

鎖で繋いでた




「私という存在で彼を、彼の人生を縛りつけたくなかった」




あの時の蒼は

あたしの為に無理して

自分のことを犠牲にして




「将来の夢も見えないそんな毎日を送っていた彼に、彼自身の人生を送って欲しくて…そして私も、自分で人生を選び、いまここにいます」




6年間、美々ちゃんにさえ言えなかったあたしの想い。




「私の選択は、あの時の選択は間違ってはいなかったと思っています。ただ、彼はいまどこで何をしているか、何も知りません。それが悲しいというくらいで…」




「でも、まだ彼を想い続けているのですよね…?」




「彼を嫌いになったわけじゃありません。毎日彼のことを想います」




毎日…空を見上げて

想うよ…蒼




「それでも幼かったあの頃のように、彼を好きなのかと聞かれると…わからないんです」




「わからない…?」




「それにもう彼の隣には…他の女の人がいるかもしれません」




6年という時間は


ちゃんと月日は




立ち止まることなく


流れていた




「…彼が選んだ人生ならそれでいいのだと思ってしまう自分がいます。…人は時が経つと忘れてしまうのでしょうか。純粋な気持ちを…」




自分から逢いに行こうとか
そういう勇気がない




それほどもう




蒼への気持ちは

なくなってしまったんじゃないかって




昔のあたしなら


迷わず逢いに行ったはず…




ただ毎日蒼のことは想う




この気持ちがなんなのか


あたしはわからぬまま



一日を終えていく……




純粋な心を失くしてしまったの?




蒼をもう…愛してないの?




あたしはあたしの心が


わからない…