幼なじみ〜first love〜

「あれ?拓真…」




砂浜に座るあたしの隣に座った。




「よっ!」




「拓真…心配で後ついてきてたんでしょ?」




あたしがヒジで拓真の肩をつつく。




「冷やかしてんのか?それが教師かよ」




「ごめん…」




「愛空と…何話したんだ?」




「んー?たぶん、拓真が知ってることだと思うよ?」




「ふーん」




拓真…愛空のこと




好きなんだろうな……




「先生…」




「ん?」




「愛空は去年、父親の介護の仕事の都合で、この島にやってきたんだ」




拓真は、まっすぐ海を見つめたまま話し始めた。




「この島に来た時から愛空は、明るくて、しっかり者で、でもしっかりしすぎてた……」




「先生もね、そう思うよ…」





「愛空の行動は、全て父親の為なんだ。働く父親の為に料理も得意になって、お弁当を豪華に作るのも、母親がいないことで愛空がバカにされたら父親が悲しむから。言葉づかいが良いのも、周りの大人たちから父親の教育がなってないって言われたくないとか、勉強が出来るのもそう、学級委員をやるのもそう、全部父ちゃんの為なんだよ……」




「そうやって…愛空が言ったの…?」




拓真は横に首を振った。




「直接そう聞いたわけじゃないけど、でもそうなんだよ…」




「拓真……」




「愛空は、それら全部を無理してやってるわけじゃない。料理だって好きなはずだし…俺にもよくおやつ作ってくれるから。でも無理しすぎてる時もある。今日みたいに弁当投げつけられても泣かない。というか、人前で絶対に泣かないんだ…」




「うん……そうだね…」




「先生、俺は愛空に何をしてやればいい?」




あたしは、本当に未熟だと知る。




子供たちに教わるばかりで、あたしは子供たちに何をしてあげられるんだろう。




「拓真は…拓真のままで愛空のそばにいてあげて…」




それしか言えなかった。