絢音が考えてることは
わかる
けど理解したくはなかった
「あたしね、信じてみる……“運命”っていうものを。さんざんその運命ってモノに振り回されて、あたしたちたくさん泣いて傷ついて、悩んで、苦しんで…きたけど…」
「そうだよ…だから今度こそ離れないって…」
「だけどね、蒼と出逢えたんだよ…。その“運命”ってモノのおかげで、蒼のそばに生まれてくることができたの……」
「何言い出すんだよ…絢音…」
俺は…絢音の両肩を掴み、力強く揺さぶった。
「…別れるっていうのか?何度、繰り返すんだよ…離れて、何度遠回りするんだよ?!俺はもう後悔したくないんだよ!!絢音も同じだろ?」
「…………」
「………絢音」
「もしも運命というものが本当にあるのなら…あたしたちまた愛し合える…巡り逢えるよ……あたしは信じたい……」
そんなの…綺麗ごとだ
何より絢音と離れるのはもう嫌だ
運命に振り回されるのは
もうごめんだ
「なぁ…絢音、遊也と約束しただろ?諦めないって…俺たち」
「蒼はムキになってるだけだよ!遊也のこと…」
「ちげぇよっ!!」
「蒼……」
「ごめん…怒鳴ったりして…」
どうしたらいいのか
わからない……
「諦めるとかじゃない…蒼、あたしはずっと蒼を好きでいる」
「好きなら、何で離れる必要があんだよ?俺は絢音の為なら何だって……」
「それがツラいの…苦しいの…蒼をダメにする。そんなんじゃあたしもダメになってく…」
「俺のことなんかいい!俺は絢音が幸せなら…それでいいんだ」



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)