『絢音……』
あたしが目を覚ますと、蒼がそばにいた。
どうやら病院のベッドで眠っていたらしい。
辺りは真っ白で、あたしの頭はまだぼんやりとしていた。
『絢音、二日も眠ってたんだぞ?』
『…二日も…?…ねぇ…蒼!遊也は…?遊也どこ……?』
あたしは、蒼の左腕を掴んだ。
『しっかりしろ…!遊也は…死んだんだ…』
『…死んだ…?』
『…そうだよ…この目でしっかり見ただろ…?』
そう…遊也はもう
動かなかった…
遊也の笑顔には
もう逢えない
早すぎだよ
遊也………
『これが全て夢だったらいいのに……』
『俺だって…そう思うよ』
蒼はあたしを抱き寄せ、涙を流した。
『ごめん…蒼…倒れたりして……蒼もつらかったよね…?』
『……少しでいいから……このまま…にさせて……』
ごめんね…蒼
いつもあたしが先に泣くから
蒼はいつも泣けなかったよね
遊也がいなくなって悲しいのは
あたしだけじゃない
ごめんね…蒼
ごめんね……



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)