蒼の笑った顔を見たら、少し安心した。




俺と同じ境遇になってしまった蒼…だからずっと気持ちは痛いほどにわかっていた。




「悲しいこと、たくさんあったな…蒼…。これからは絢音の為におまえは生きるんや…それが蒼自身の幸せに繋がる…」




悲しいこと


苦しいこと


数え切れないほど


たくさんある




きっと…これからも

たくさんある




どれが大切で

何が大切なモノかも



わからなくなる時もある




それでも蒼は絢音を


絢音は蒼を




お互いの為に生きて…




誰かの為に生きるって




いいな…なんかさ




誰かの為に生きて


誰かの為に死ぬ




この悲しい世の中で




愛は


何より強くて


何より美しいよ




「遊也…今まで…ごめんな…謝っても許してもらえるわけないんだけど…」




「アホか…おまえは。友達っちゅーのは…相手を思いやれれば、何でもありなんや。蒼が俺を思うてくれてんのわかってるて…」




「ごめんな…本当に」




「俺は“ごめん”より、“ありがとう”のが好きや。せやから……ありがとう…蒼…」




「俺…絶対に遊也のこと…忘れねぇから……」




「負けんなや…蒼、周りが反対したって…世界中が反対したって…俺は、二人を祝福するから」




「ありがと…遊也」




親のことも含め


絢音と蒼が結ばれるには


まだまだ問題は


多いかもしれへん




それでも


これだけ相手を

想い合う二人を




俺は諦めたくない




どうか“初恋”を


この二人の運命を




“幸せ”な未来に


変えてやってください



神様…俺の命

持ってくんやから



叶えてや…俺の最後の願いを……