どんなに楽しくても


どんなに悲しくても



時間は

一秒、一秒と、過去になってゆく……




俺に“未来”はないとしても




ただ“今”を

噛み締めて




生きてる




タイムリミットは

あと少し……




あと少しなんやと……




俺は不思議と

そう感じていたんや…――。




時間も忘れて、浜辺ではしゃぎ続けた俺たち。気づけば東の空が少し明るくなっていた。




「もう朝やで……」




俺は、波打ち際で絵具で描いたような朝焼けの空を見上げた。




星も明るくなる空と共に消えるだろう。




星は

いつも見えるわけやない




けど見えなくとも


確かにずっとそこにある




星はずっと輝いてる




智也……


もうすぐ…そばに行くで




「そや、帰る前にみんなに言わしてや…」




俺は、言わなきゃいけない気がしたんや。




皆は、いつになく真剣な眼差しで俺を見つめる。




「まず…、ケン…。おまえのその真っ直ぐで素直な所が好きや」




「何を言うかと思えば、いきなりホモ発言かよ…!俺には美々がいるから…遊也ごめんな」




ケンは、いつもの調子でふざける。どこか照れているような、強がっているようなそんな感じに見えた。それでも俺は真剣に話を続けた。




「ケン…俺は何度も助けられたで。その素直なとこ、ずっと変わらずにおってな…」




「遊也…ふざけんなよ……いつもみたいに笑えよ…笑えって…」




「…美々のことになると、たまに周り見えへんようなるけど、この気ぃ強い女王様…幸せにしてやれや…」




「遊也…まだそんな話しすんの早いだろ…?なぁ…遊也………」




ケンの目には涙が溢れ、ケンは背を向けた。




「ありがとう…ケン」




俺は、ケンの背中を軽く撫でた。




ケン…

ずっとケンらしくいてな