「記憶は…思い出に変わる」




遊也の言葉に、俺はゆっくりと目を閉じた。




「時間は流れてく…記憶は思い出に変わるんや…。来年の今頃、もう俺はいないかもしれへん…」




「弱気になんなよ」




こういう時にケンは、言葉を発することができる。俺は言葉を選ぼうとして迷って、言葉に詰まってしまうのに…。ケンが羨ましい。




「約束してくれへんか…?」




遊也の言葉に、みんな遊也の横顔を見つめた。




「俺が星になっても、会いに来て…こんなふうに…会いに来てくれや……」




“約束”する。遊也が約束破ったって、俺たちはおまえに必ず逢いに来るから。




「綺麗ごとに聞こえるかもしれへんけど…おまえらがいるから…俺は…死ぬの怖くないんやで…?」




「…俺らみんな、遊也のこと、愛してんぜっ」




寝ながらケンは、遊也に思い切り抱きついた。




「こらっ…ケン…おまえ、キモいでぇ…」




ケンと遊也はじゃれあっている。ただ、ケンはもう耐えられなかったようだ。ケンの頬には涙が流れている。




「…遊也がいなくなるなんて、考えたくねぇよ…」




「ケン…なに泣いてんねや…俺の胸で…」




「泣いてねぇよ…泣くわけねぇだろ…?…俺たちずっと一緒だろ…」




ケンの言葉に、遊也は嬉しそうに微笑んだ。




「…ケンちゃん、俺も愛してるで!…せやから泣かんでやぁ」




「…砂が…目に入っただけだっつの…」




遊也とケンは、起き上がって波打ち際で水を蹴り上げながら、じゃれあっていた。




「蒼も来いやっ…!」




遊也がケンを海の中に倒し、ケンの服や髪はびしょ濡れになっていた。




「何してんねん…っ!蒼っ」




「…おぉ」




あんなに元気そうなのに




あんなに笑っているのに




遊也は何故


星になるんですか…?




俺たちの大切なモノ


これ以上

奪わないでください