幼なじみ〜first love〜

俺は絢音と一瞬目が合ったが、絢音は視線を逸らす。




「どうしたって…こっちの台詞だ…遊也がいなくなったから探しに来たんだろ…?」




俺の叫ぶ声に、遊也は穏やかな様子で微笑んだ。




「急にな…海に来たくなったんや」




波打ち際で水を蹴っていた遊也は、裸足のまま砂浜に寝転んだ。




「こんな夜じゃなくても…真っ暗な海なんて何も…」




美々が言うと、遊也は呆れたように笑う。




「行き先誰にも言わへんかったのに…絢音も追いかけてきよって…おまえらまできよって……なんやっちゅーねん」




俺とケンは、遊也を間に挟んで寝転んだ。




「俺も智也みたいに…海に消えるとでも思うたんか?」




遊也は、冗談っぽく笑っていたけど、俺はここに来るまで不安を拭いきれなかった。




「どーせ何もせぇへんでもすぐ死ぬんや…わざわざ自分から死なへんよ」




「遊也、やめて…っ」




絢音が泣きそうな声で呟いた。




「俺は…智也ちゃう…同じ病気でもな」




あおむけに寝たまま遊也は、夜空に右手を伸ばした。




「夜にならんと…智也に会えへんやろ…?…明るいと見えへんから…」




「遊也…?」




俺は遊也の横顔を見る。遊也の目からは涙が一筋、頬を伝った。




「死んだら人は…星になるんやろ……?」






“死んだら人は星になる”



俺は遊也の言葉を


頭の中で繰り返していた




静かな波の音を聴きながら……―――