「あたしは…」




蒼が好きだった



初恋だった



好きで

好き過ぎて



何もかもが特別で



ずっと一緒だって

信じて



でも離れて



すれ違って



でもやっぱり

蒼なんだって



蒼が好きなんだって



蒼と誓った



今度こそ

離れないって



迎えに行くって

言ってくれた



でも…あたしは



あたしは……




「…遊也の…そばにいたい。そばにいさせて……」




それが今のあたしの


本当の気持ち




「…絢音…おまえは何も悪くないんや。これが俺の運命なんやから…。おまえは蒼のとこにいけ…」




「……いかない」




遊也は、あたしの身体を無理やり離す。




「おまえは…俺が可哀想でそばにいるって言うてんのか…?」




「……違う…っ!」




「……俺がこんなふうにならんかったら、絢音は蒼んとこに行ったはずや」




やっぱり遊也は

気づいてたんだね



旅行の時から



ううん…きっと



ずっと前から




「あたしは…蒼のとこにはいかない…。遊也のそばにいるから…」




「昔の俺なら…俺が…生きられるんやったら……おまえを絶対離したりせぇへんかった…」




遊也は優しく、あたしの頬を撫で微笑む。




「せやけど俺は…いなくなる」




「遊也……っ」




「淋しがりの絢音が泣いてても…そばにいてやることさえ…出来ないんや……」




死なないで…


いかないで……




このまま…そばにいて




「絢音を幸せにできひんよ、俺は…」




「…何も…しなくていいから…。遊也…今まであたしの為にどれだけたくさんのことしてくれたかわかってる…?」




「絢音を幸せに出来るのは、蒼だけや…」