――…静かな夕暮れ、橙色に染まった空の中をカラスが鳴いて飛んでいる。




美々ちゃんに一緒についてきてもらって、遊也の住むアパートにやってきた。




遊也の部屋の合鍵を返しに…。




――…ピンポーン…


ドアのインターホンを鳴らしても、応答はない。遊也は留守なのだろうか。




「今日遊也って仕事休みの日だったよね?どっか出かけてんのかな…」




首を傾げながら、美々ちゃんは何度もインターホンを鳴らしていた。




――…ガチャ




その時ちょうど、遊也ん家の、隣のドアが開く。




「……あのぉ」




そう声をかけてきたのは、エプロン姿の30代前半くらいの女性だった。




「一ノ瀬さんのお友達…?」




「……あっ、はい…」




「一ノ瀬さんなら、しばらく入院するからって…この前うちにお菓子持ってきてくれたんだけど…」




「えっ…?」




入院って…?




「ここのアパートも今月いっぱいで引き払うみたいよ…?」




今月いっぱいで遊也ここからいなくなるの?入院って?


あたしは動揺を隠せないでいた。




「あのっ…他に何か言ってませんでしたか…?」




「他には何も…」




その女性は、軽く会釈をしてドアを閉めた。




「絢音…遊也ってこの前、過労で入院して…もう退院したんじゃないの…?」




「そう…だよ…」




「また入院してるの…?」




「この前は公園に呼び出されたけど……何も言ってなかったよ…?」




「前に入院してた病院わかる?」




「うん」




「とりあえず行ってみよ?」




「…美々ちゃん、ありがと…」




あたしは

不安に襲われていた