「アイツんとこ…蒼んとこに行けや」




「………ゆう…や…」




絢音がブランコから立ち上がり、涙を流す。




「もう二度と会わへん…」




「……遊也…」




「せやけど、おまえの幸せ願ってっから…」




俺は、ブランコから降りて、絢音を抱き締めた。




「おまえは絶対に絶対に…幸せにならなあかん…」




「…っく…遊也…っ…ごめ…ん…ね…っ…ぅぅ…」




「今まで…ありがとうな」




俺は、そっと腕を緩め、絢音を見つめた。




「…もう…行くんや」




「……ごめん…ね…」




「行け…っ」




絢音は何か言いたそうだった。でも俺は、目を逸らした。




「じゃあな…絢音」




絢音の走り去ってく後ろ姿を、見つめ俺は呟やいた。




「きっと…最後やな」




絢音を…




この世界で一番

愛しい人を




見ることも


抱き締めることも




もうないのだろう




君にこれ以上の


悲しみも

苦しみも




与えたくない




俺はもう…

死んでしまうのだから




よかったんや




これで…よかった




そう言い聞かせる




本当は

俺が絢音を




幸せにしたかった




するはずやった






俺にはもう何もない




何もできないんや……




悔しくて

悲しい




運命を嘆いても



もう仕方のないこと