あたしと蒼が保健室を出ると、美々ちゃんは廊下の壁にもたれかかっていた。




顔を見ただけで、美々ちゃんが心配してくれてるのが、すごく伝わってくる。




「美々ちゃん…」




「教室…戻れる…？」




「うん」




蒼と美々ちゃんと一緒に、廊下を歩いていると、今はあまり話したくない女の子が前から駆け寄ってきた。




「…絢音ちゃん？どうしたの…？何でジャージなの…？」




そう言って、栞ちゃんはあたしの髪を撫でる。




「何でもないよ…」




今は栞ちゃんと話す気分じゃないのに…。




「だって…顔色も悪いじゃない…」




心配そうな顔をして、あたしの頬に触れる栞ちゃん。




昨日の栞ちゃんとはまた違った雰囲気。本当によくわかんない女の子。あたしは、無理やり笑顔を見せた。




「行こうぜ…」




蒼は、栞ちゃんに見向きもせず、あたしの腕を掴み、スタスタと歩いていく。




「ちょ、蒼…じゃ、じゃぁね…！栞ちゃんっ」




あたしが振り返りながら、栞ちゃんに言うと、栞ちゃんは、少し微笑んで手を振っていた。




蒼の横顔は、怒りに満ちていた。