せやけど俺は、これが夢でないということを、その医者の一言で確信したんや。
“……病名は…”
病名を聞いた時、夢から覚めたんや。智也と同じ病気やった。
俺の双子の弟……智也と。
智也…俺はずっと
おまえが自分で死を選んだ気持ち
わからんかった
あの頃、智也は親父と暮らしてて
俺は母ちゃんと大阪で暮らしてて
離ればなれやったな
病気やってわかって
おまえはどんな思いで
寂しかったやろ…?
悲しかったか…?
それとも
悔しかったか…?
俺…20才やで?
まだこれからやろ…人生
智也はまだ…あの時
小学生やったな
生きたかったやろな
もっと…この世界で
生きたかったやろ…?
神様は意地悪やな……
タイムリミットを与えるなんてな……
“先生、頼みがあるんやけど…”
ロビーで待ってる女の子がいると看護婦から聞かされた。
呼んで来て欲しいと…
それと…その女の子には、病気のことは絶対言わんといてと…
ただの過労やって…
ちょっと入院して
休むってことにしといてや
そう…俺は頼んだ。