「沙羅……」




ベッドに横になり、遊也くんは穏やかな表情で私に手を伸ばす。




私は、遊也くんの手を握った。




「蒼はおまえのこと…嫌いなわけちゃう。…大切に想ってる」




「無理して…しゃべらなくていいよ…」




「無理なんかしてへんよ。俺はそんなヤワちゃうわ。」




遊也くんの笑顔に私もつられてしまう。




「沙羅…おまえを大事に想うてんのは蒼だけちゃうよ?俺かて…おまえのこと心配や…」




「……ありがと…」




「自分のこと、ひとりでもわかってくれるヤツおったら…強くなれる」




もしかしたら私は、自分で自分の世界を狭く醜いものに変えてしまったのかもしれない。




誰もわかってくれないと決めつけて、大切な物は蒼だけだと縛りつけて。




「まずは自分の弱さから逃げるの、やめるんやで…?」




「………うん」




自分から逃げちゃダメだって…



弱さを見せるのも


弱さを見せないのも



どっちも強くなる為に

必要だってこと



大切なのは

自分から逃げないこと



人のせいにしないこと



相手を許すこと


自分を許すこと




自分には誰もいない

誰にもわかってもらえないと嘆くのは…



間違ってたんだ



それは誰かの優しさに

気づいてないだけだよって



人は絶対に

ひとりじゃ生きていけなくて



それでも…ひとりだって

思ってしまうのは



気づいてないからだって



その時に気づけなくても


後から気づく時が来るって



そう教えてくれた