――…いま…何時…?




遊也が病院に運ばれて何時間が経ったのか…




あたしは泣き疲れて、いつの間にか、眠ってしまったみたい。




「一ノ瀬遊也さんの…?」




後ろから女性の看護士に声をかけられた。




「…えっ…あ、はい!」




慌てて椅子から立ち上がる。




「一ノ瀬さんが、呼んできて欲しいって…」




「遊也、大丈夫なんですかっ!?」




看護士さんが無言で優しく微笑んだのを見て、少しホッとした。




「どうぞ、こちらです」




看護士さんに連れられ、遊也のいる個室にやってきた。

真っ白なベッドの上に横になっていた遊也の顔を見た途端に、また涙が溢れてくる…




「…絢音、ごめんな」




遊也が穏やかに微笑む。




「…心配…したんだからぁ……」




あたしは、横になっている遊也にしがみついた。




「びっくりさせてもーて…ホンマ…すまんかった」




遊也があたしの髪をそっと撫でる。




「大丈夫なの…?何で急に……どこが悪いの…?」




「どこも悪くないで?」




「嘘でしょ…?だっていきなり倒れるなんて…」




「医者の話やと、疲労やて……最近忙しかったやんか…」




遊也がムリして笑ってる気がする……




「ほんとぉに…?」




「嘘ついて、どないすんねん。せやからしばらく入院すんねん」




「わかった…あたし入院に必要な物とか色々…」




遊也があたしの右手をギュッと握った。




「絢音…俺から連絡するまで、ここに来んといて欲しいねん…」




真剣な眼差しで、遊也は真っ直ぐにあたしを見つめた。