蒼、沙羅とは、ホテルを出た所で別れた。




「絢音ちゃん、遊也くん…またねっ」




沙羅が笑顔であたしたちに手を振る。




蒼は何も言わずに、ただあたしを見つめる。




……大丈夫


信じてるよ…蒼




今度こそ
連絡待ってるから




あたしも遊也に
ちゃんと話すから……




「二人も気をつけて帰ってね…」




そう言ってあたしは、遊也と二人、車に乗り込んだ。




ブォォォン…―――




走り出した車の中、あたしはサイドミラーから蒼の姿を見つめていた。




絶対にまた

逢えるって…信じてるから




蒼が迎えに来るの


待ってるからね……




運転中の遊也は、車に乗ってからまだ一言も話さない。




前を真っ直ぐ見つめたままの遊也。




……何から話せばいいんだろう……




遊也は勘がいいから


絶対に何かあったって気づいてる……




「………朝まで…眠らされてたんや」




「え…っ?」




眠らされてた…って


どういうこと…?




昨日…頭痛いからって

遊也は自分から早くベッドに入ったのに……




「物音で俺は目ぇ覚ますタイプやのに、おまえらが帰ってくる直前まで、俺は目を覚まさんかったんや…」




「……遊也?」




「まぁ…ええわ」




遊也は、あたしの顔を見ない。




「頭痛いって言ってたの…治った?」




「ん……」




「そっか…よかった……」




あたしがそう言うと、遊也はまた黙ってしまった。