ホテルの部屋に帰った途端、遊也が思い切りあたしを抱き締めた。




「……遊也…っ」




「…大丈夫か!?…心配したやんか……」




遊也は、あたしの体を抱き締めて離さない。




「……遊也…苦しいよぉ…」




「何しててん…今まで…」




「吹雪いてて帰れなかったんだ。山小屋で朝まで避難してた…」




蒼の声が後ろから聞こえた。




遊也はあたしの身体を離し、蒼を見つめた。




蒼と遊也の間には、何とも言えない空気が流れる。




「…でも本当に、二人とも無事でよかった…」




沙羅があたしに優しく微笑んだ。




「絢音ちゃん顔色良くないけど、大丈夫なの…?」




「うん…平気」




「そろそろ帰る準備しないとね、みんな。チェックアウトの時間来ちゃうよ」




沙羅の言葉で、遊也は蒼から目を逸らした。